シルクは、蛾の幼虫の蚕(カイコ)の繭から作った天然繊維です。
蚕は、幼虫から成虫になる時に繭を作り、その中で過ごします。
繭の中をイメージしてください。
長い間、乾燥せず、適温を保ち、太陽の紫外線や雨水から守る。
これこそがシルクの特徴でもあります。
以下5つ分かりやすく説明します。
1.シルクはお肌に近い天然繊維です
シルクは、蚕(カイコ)の繭から作られるタンパク質でできた天然繊維です。アラニン・グリシン・チロシンなどの、お肌の成分に近い約20種のアミノ酸が数百~数千も結合した純粋なタンパク質繊維で、繊維素材としてだけではなく、ひとの皮膚や健康にもよい多くの機能を持ち合わせています。
2.吸湿性・通気性・保温性に優れている
人体からは1日ほぼ1リットルの水分が発散されています。衣服には、この水分を吸収して外に放出する通気性が着用時の快適さに関係します。天然繊維の中でも、シルクは綿の1.3~1.5倍の吸水性があり、放湿性も綿に遜色ない特徴をもっています。
また、シルクは、天然素材の中でも最も細く長いため、繊維と繊維の間にたくさんの空気を含むことが出来ます。すきまの空気の断熱効果により、外の寒さを伝えにくく、軽やかで、薄くても暖かみがあります。
シルクは吸湿性が優れていて放湿速度が大きく、さらに保温性に優れた繊維で、「冬は暖かく、夏は涼しい」快適な天然のエアコン素材です。
3.紫外線(UV)をカットする
シルクは繭の中の蚕が紫外線を浴びないように守る機能があります。シルク製品を身につけた場合、お肌の大敵といわれるUV-B波(UVB)、UV-C波(UVC)が吸収されて紫外線をカットします。シルクの紫外線カット率は90%前後と、極めて高い数値が報告されており、衣類だけではなく、美容・健康・医療分野からも注目を浴びています。
4.気品ある光沢と深く鮮やか色彩
シルクの光沢は、よく真珠にたとえられます。真珠は、波長によって表面で反射するものと、内部まで透過してから各層で反射するものが干渉して、気品のある光沢を生みだします。シルクの光沢も、蚕が繊維をつくりだす過程でできるフィブロインタンパクの層状構造や内部の複雑な構造が生みだしています。また、シルク(フィブロイン)は大小さまざまなプリズム(三角柱)状になっており、この三角断面がプリズム効果で光の屈折・分散を起こさせるためです。
シルクの美しさは、染め上がりの美しさにもあり、繊維の奥の奥まで染料を定着させ、深い色合いを表現し、繊細な図柄を鮮やかに染め分けることができます。
5.静電気が発生しにくい
冬になると衣類の着脱時にパチパチと静電気による不快感を味わうことがあります。繊維が摩擦すると静電気が発生し、繊維の電気抵抗が大きいと蓄積されて帯電します。シルクは吸湿性に富んでおり合成繊維に比べ静電気はおきにくくなります。ただし、著しく乾燥した場合はシルクにおいても静電気は避けられません。