「絽紗」を立ち上げた時、
一つの課題がありました。
絽、紗とは、きもので言えば、夏の素材。
一般的に、7月8月にのみ着るものです。
シルクストール「絽紗」は
いつもその背景を持ちながら、
新しい存在意義を見つけ出そう
としてきました。
春夏のシーズンにおいては、
その素材の持つ品格ある爽やかさから、
お客様が選び、自信を与えてくれました。
しかし、最大の強みが「清涼感」
であるがゆえ、
秋冬シーズンには適さず、
日本橋三越本店の売場はクローズします。
これでよいのだろうか?
絽と紗の素材の強みを活かした、
絽紗らしい表現はできないだろうか?
これと向き合ってきました。
たて糸やよこ糸を太くしてみました。
目を細かくし清涼感を少なくしてみました。
しかし、なぜかしっくりきません。
自分たちらしさが失われたような、
主張のない生地にしか見えないのです。
そして試行錯誤の末、出した一つの答えが
・自分らしさを見失わないこと。
に辿り着きました。
爽やかな生地も重ね二重に
することで温かみを増します。
そして、シルクの絽や紗が
重なりあったときに生まれる
モアレを活かせます。
*Wikipediaでは、モアレとは、干渉縞ともいい、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。
温かみを出すために、
秋冬に対応するために、
と目先の小細工したりするのではなく、
本質を崩してはいけないのだと。
生地が気づかせてくれました。
2018 Autumn & Winter new Item
通常、きものの絽や紗は40センチ前後。
御坊様の衣の絽や紗は64センチ。
今回は、織機でせる最大幅にチャレンジし75センチ。
ボーダーを織り込んだ新しい「紗」を織りました。
そこにプリントを行い、
半分で折り返して袋状に縫う。
すなわち二重紗のストールになります。
ふわふわっとした肌触りが心地よい。
そして、キラキラとモアレが浮き上がり
あーシルクってやっぱりいいって
感じる、何とも言えない存在感。
透けることで生まれる新しい表現のストール是非お試しください。
こちらも75センチ幅の生地に対して、
プリントを行ったストール。
ただ、こちらは袋状に縫っていません。
デザインは半分は秋冬の定番柄チェック、
もう片面はバイカラーにしています。
チェックの構成色を分解しているので、
全体的なバランスが良いですよ。
巻いてヨシ、羽織ってヨシ。
半分に織り返すと色を重ねられますし、
自分好みにアレンジを楽しめるストールです。
チェック柄好きだけど、ウールのチクチクが気になる方オススメです!。
こちらも、75センチ幅の絽の生地です。
ぼかし染めで色の移ろいを表現し、
そこに片面を墨流し染めを加えた
バイカラー仕様です。
よって、半分に織りたためば無地のようにも
墨流しの面を前に出せば、
また違った表情を生みだします。
そして、今回はより温かみを出すために、
フリンジ部分を縫わずに、
よこ糸をぬいてフサフサにしています。
今までとは違う何かぬくもりを感じる、絽紗を是非お楽しみください。
ストールにはどんな柄をのせても
首に巻くと色んな色が出て楽しいものです。
ただ、周りから普通のストールに見えても
やはり自分の身に着けるものには
こだわりたいって思うこともありますよね。
今回は、芸術の秋にふさわしい
抽象画のようなデザインを
プリントしてみました。
絽紗をご存じの方は、何か絽紗っぽくない
って思うかもしれませんが、
色々と新しいことを楽しむのが絽紗スタイルです。